1. 賃貸契約トラブル（契約内容をめぐる問題）

日本の賃貸契約は、契約書の条文が細かく、法律上の専門用語も多いため、入居者が不利な条件に気づかないまま署名してしまうケースが少なくありません。

よくあるトラブル例：

• 更新料（契約更新時の追加費用）をめぐる争い
• 契約解除の条件や違約金
• ペット禁止や楽器禁止の取り扱い
• 契約書に明記されていない修繕義務

特に外国人居住者の場合、日本の「慣習」と法律の違いが理解しにくく、オーナー側の一方的なルールに従わされてしまうことも多いのです。

2. 敷金返還（退去時のお金の問題）

賃貸契約で最も多い相談の一つが「敷金返還トラブル」です。

本来、敷金は退去時に原状回復費用を差し引いたうえで返金されるべきものですが、実際には「クリーニング代」「経年劣化まで請求される」など、不当な控除が行われるケースが少なくありません。

日本のガイドライン（国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」）では、

• 経年劣化や通常使用による傷みは入居者の負担ではない
• 特別な破損や汚れのみ、入居者が負担する

とされています。つまり、「10年間使って自然にできた畳の色あせ」や「冷蔵庫裏の床の跡」などは、敷金から引かれるべきではないのです。

3. 建物欠陥（雨漏り・カビ・設備不良）

アパートやマンションに入居した直後に、雨漏り・カビ・排水トラブル・エアコンの不良などが発覚するケースも非常に多いです。

建物欠陥の例：

• 雨漏りや結露によるカビ被害
• 水道管の老朽化による水漏れ
• エレベーターや給湯設備の故障
• 契約時に説明されなかった欠陥住宅

こうした場合、貸主や管理会社が修理を負担するのが基本ですが、実際には「入居者の責任」とされて修理費を請求されることもあります。

このような場合は、賃貸契約書と民法の規定を確認し、必要に応じて消費生活センターや弁護士に相談することが有効です。

4. 近隣トラブル（騒音・生活マナー）

日本の都市部では集合住宅が密集しているため、近隣トラブルは後を絶ちません。

よくある相談内容：

• 上下階の騒音（足音・ドアの開閉音・深夜のテレビ音）
• ゴミ出しのルール違反
• ペットの鳴き声や匂い
• 駐輪場や駐車場の使い方

一度関係が悪化すると長期化しやすく、精神的なストレスが大きな問題になります。管理会社に相談しても改善されない場合、最終的には弁護士を通じた法的対応が必要になるケースもあります。

5. トラブルを防ぐためのポイント

不動産や住宅のトラブルは、事前に注意することである程度防ぐことが可能です。

• 契約書を細かく確認する（特に更新料・修繕義務・敷金の扱い）
• 入居前に室内の写真を撮影し、傷や汚れを証拠として残す
• 退去時は立会いを行い、修繕内容を明確にする
• 近隣住民とのトラブルは感情的にならず、管理会社を通して解決を試みる

6. もしトラブルが起きたら？

実際にトラブルが発生した場合には、以下のような相談先があります。

• 消費生活センター（国民生活センター）
• 弁護士相談（法テラスを通じて無料相談も可能）
• 不動産適正取引推進機構

特に「敷金返還」や「賃貸契約トラブル」は、法テラスや弁護士ドットコムなどでも多くの解決事例が紹介されています。

まとめ

日本における不動産・住宅トラブルは、賃貸契約トラブル・敷金返還・建物欠陥・近隣トラブルの4つが大きな柱となっています。

これらは誰にでも起こり得る問題であり、特に賃貸住宅に住む人にとっては身近なリスクです。契約前の確認、退去時の証拠保全、冷静な対応がトラブル防止のカギとなります。

もし自力で解決できない場合は、専門家に相談することで不当な負担を避け、公正な解決を図ることが可能です。